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企業再生ストーリ本は何冊かあれど、もっとも日本企業っぽく、難易度が高そうな松下の改革本をチョイス。「破壊王」と言われた中村社長時代の逸話が並んでいる。個人的には中村改革の全体像に日本経済まで俯瞰した洞察が欲しかった気もするが、あとがきでさらっと触れるに留められている。
弘法大師に魅せられている中村さんを「お遍路さんと同じ弘法大師と『同行二人』で苦楽をともにしている」と評される。
アメリカ松下電器会長だった頃、部下の牛丸という人は、Emailでは肉声が伝わらないと言って、拙い英語と仏語のボイスメールで毎月の売上高や利益・目標達成度へのコメント、想いを伝えたという。あのジャックウェルチも昔手書きで書きなぐったFAXを社員に送ったという逸話がある。
「トップが必死になること」。洋の東西・会社を規模を問わず、再生に必須の条件と思う。
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リーマンショック以降、経済評論家といわれる数多くの方の本を読んできたけれど、どれも「今すべきこと」と「今後の青写真」が曖昧だった。この本は少なくとも「今緊急にすべきこと」を具体的にしてくれた。日本の総理がどうしてくるくる変わるのか?という疑問も大いに腹落ちした。全国の中小企業を回った分析も的を得ているし、シナリオも官僚らしく実効性が感じられる。もっとも学んだのは「何をしたくて、首相になるのか」「何をする内閣なのか」を明確にして、それに即した戦略メンバーを揃えるべし、という点。企業でも「今、こういう方向に舵をとりたいから、誰それを社長にする」という人事を行うもの。国も同じということだと思った。内閣をプロジェクトに見立てて、目標設定をし、WBSを引き、アサインメンバーとマイルストーンを明確にして、その計画書に対して投票する・・・そんな仕組みが出来たら面白い。公には無理だろうから、ソーシャルメディアで仕掛けられたら良いかもしれない。
2011-09-11 15:07:51