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戯曲の中のセリフを紹介するというよりは、文庫版あとがきで著者本人が言っているように「古今東西名作戯曲解説」といえる内容。
松尾スズキ「マシーン日記」について、「癒し」では救われない現代日本人に「許し」を積極的に言い放つ新しさが松尾スズキの新しさだとする冷徹な洞察力には目から鱗が落ちました。
アラン・エイクボーン「リラティブリー・スピーキング」、アリストパネース「女の平和」、別役実「赤ずきんちゃんの森の狼たちのクリスマス」、安倍公房「友達」などのこれまで知らなかった戯曲の解説では、鴻上尚史の深読み、文章の巧みさに思わず引き込まれ、舞台を見ずにはいられなくなってしまいました。
演劇というものは、映画やテレビなどのほかのメディアと違って、スポンサーの修正も入らず、時間差もなく、作家の思いが直接届く、奇跡的に時代の息吹が丸ごと込められた作品になる可能性の一番高いメディアだと鴻上尚史と定義しています。
この「名セリフ!」で紹介された戯曲は、そういった作者の思いや時代の息吹が濃厚に込められた傑作ばかりということもありますが、私は演劇の奥深さと魔力に取りつかれてしまったかもしれません。
志と知恵と胆力を持って大国の狭間で乱世を生き抜く小豪族真田家における、幸隆・昌幸・幸村の三代記。
地方の「小さきもの」が徳川という大勢力と渡り合い、二度にわたって勝利を収める過程は、東京中心で地方の疲弊が甚だしい現代日本の再生のヒント、或いは希望が込められているように思われた。
歴史小説としても池波正太郎の「真田太平記」に匹敵する面白さ。是非映像化して欲しい作品です。
本日の日経新聞の書評で紹介されていたが、僕にとっては村上春樹作品のベストとも言える、クラシック音楽ファンにとっては宝のような作品。
自らを「素人」という村上春樹による真摯で謙虚でストレートな質問に現代を代表する指揮者の小澤征爾が音楽とは、指揮者とは、指揮法とはをわかりやすく真正面から解説しています。
「このオーケストラの演奏は、子音が出てこないですねぇ。」
「『ティー・ヤター』と「『ティー・・・ヤター』とでは大違いです。」など、大変興味深く、クラシック音楽を聴く喜びが広がりました。
セリーグ制覇して中日の監督を勇退したばかりの名選手にして名将落合博満の著作。
「オレ流」として異端児視されることの多い著者だが、物事の本質を見極め、気を衒わずに
勝利への道に真摯に取り組む姿勢は、我々サラリーマンにも大変参考になります。
これまで「アンチ落合」だった自分を恥じ入っています。
読んで良かった。
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毎週水曜日深夜に松重豊主演で放送(テレビ東京)されているドラマの原作。
2012-02-03 15:35:02 http://www.tv-tokyo.co.jp/kodokunogurume/食事シーンがメインなのに、「うまい。」「これはいける。」などの独り言とも言える感想のみで、一切蘊蓄なし。
「山谷のぶた肉いためライス」、「デパートの屋上さぬきうどん」、「病院のカレイの煮つけ」など気取った「グルメ」ではなく、
飾らない日常の食事の中に心休まる癒しのドラマがあるということを気づかせてくれる佳作。
ドラマ編では原作とは違う「グルメ」が取り上げられているが、第4話の「新浦安の静岡おでん」は是非食べてみたいなぁ。