正義感の強い主人公は、航空会社の労働組合の委員長として、劣悪な労働条件下にある組合員を想って、前代未聞のスト権をも行使しつつ会社側と激しく争いましたが、組合委員長を辞したとたん、会社の懲罰人事により、パキスタン、イラン、ケニアなど、僻地勤務をたらい回しにされてしまいます。
かつては組合で共に戦った同期が、いつしか会社側に取り入り出世コースを歩む姿が、主人公の生き方とは対照的に描かれていたり、また、主人公が組合員から信頼を集める一方で、主人公の家族は、主人公のために困難な生活を強いられる現実が描かれています。
学生のときに読んだときは、主人公のように「正しい」生き方をしたいと思いましたが、社会人になった今読んでみると、自分の信念だけでなく家族の幸せなど守りたいものが複数あるなら、一筋縄ではいかない理不尽な世の中にあって、因果応報をよく考えながら自分の言動を決めなければならないと感じました。