(2巻)
主人公は、会社の懲罰人事により、パキスタン、イラン、ケニアと、次々に僻地に送られる。その間、主人公を女手一つで育てた母は亡くなり、子供たちは不登校になるなど、家族は危機に晒される。
しかし主人公は、イランでは、文化の異なるイラン王族と交渉の末、航空便就航を達成し、未就航のケニアでも、航空券の売上を向上させるなど、どのような状況でも成果を上げ、また、節を曲げることはなかった。
そんな中、国民航空の便が立て続けに墜落事故を起こす。国会において、安全対策等に関する厳しい追及が行われ、会社の腐敗した体質と主人公の懲罰人事が公に明らかとなり、ついに主人公は11年ぶりに帰国することとなる。
組織の中で生きる個人の戦いと、個人がもの言えぬ組織が腐敗していくさまが描かれており、個人の在り方と組織の在り方について考えさせられた。
三国同盟との関連(山本たちがいたときはそれほどはげしくなく、吉田善吾のときこそはげしくて、善吾が反対した)とか、珊瑚海開戦の戦訓を活かさないとか、興味深い指摘があるが、いかんせん細かな論証がない。叢書として仕方がない面があるが。
2017-03-19 13:49:37