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僕は、様々な先入観を抱いて、自分の世界を狭くしている。当然、SFに対しても持っており、SFは聡明な人間が中学生の間に読むものであるという先入観と複雑な設定を理解できないだろうという自分の知性に対する正当な懐疑から、この分野を開拓してこなかった。ただ、一時期その認識を改めたことがある。社会学の入門書の参考文献に、伊藤計劃の『虐殺器官』が挙げられており、気になり手に取った。まず、帯の宮部みゆきの「私には三度生まれ変わってもこんな傑作は書けない」というような惹句に大げさだと思い、実際に読み、すごいなと思った。とは言え、僕は大抵の本に対して、すごいと言ったような感想とも呼べない言葉しか紡ぎ出せないのであるが(『虐殺器官』は、9.11後の世界に対する強烈なアンチテーゼだと思う。本当にすごいので、是非読んでみてください。リアルで会える人には貸します)。
伊藤計劃に打ちのめされたあと、SFの有名どころを何冊か読んだ。そして、飽きた。僕は本当に飽きっぽい。飽きることに倦まないかと思う程飽きっぽい。脱線するが、今月の目標は、小林秀雄の全集を読破することであったのだが、8巻で止まり、興味は、『源氏物語』に移り、さらに、ゲーテ、そして、SFへと辿っていった。それもつまらなくなって飽きるのではなく、選択に付随する決断と責任とへの心理的負担の忌避が原因であるところが度しがたい点である。
それはさておきSFに戻ろう。あの時期に『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』を面白く読み、特に文体の鋭さに惹かれ、原書まで購入した(もちろん読んでない)。ここで、ディックにはまりそうなものなのに、次の作品を読むまでに一年半もの歳月を要したのは、花の蜜を吸う蝶のようにあっちにふらふらこっちにふらふらしていたためであることは、ここまで読んできた方には言わずもがなであろう。
昨夜本屋を彷徨っていたら、『高い城の男』を見つけた。紹介文を見て、村上龍『五分後の世界』みたいだと思った。そして、不幸にもお米を買うためにお金を持っていたので、購入して、読み始めたら、止まらなくなった。とは言え、寝たが。最近眠いっす。動詞の連続が非常に拙い印象を与えると思いながら、飽きたので書くの止めます。主要な登場人物が四書五経の『易経』の占いで行動を決めるのだが、西洋の自由意志への批判なのかな。SFって批評性が高いジャンルなんだと思った。

2012-03-30 06:30:23

「ふしぎですね。真実が奥様を怒らせるなんて、考えてもみませんでした」真実-とジュリアは考えた。それは死とおなじように恐ろしい。でも、死を見つけるより、ずっとむすかしい。私は幸運だった。

2011-08-19 23:14:57 391p

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