新興衰退国ニッポン (現代プレミアブック)

①日本は衰退過程に入っており、このままでは持続できない状態になっている。そして、そのことを自己認識しなければ、この社会はいずれ滅びるだろう。それは、誰もが薄々そう思っていながら、避けている現実である。・・・誰もが、自らが滅びの過程に入っていると言われたくないのは分かる。だが、現実は現実である。避ければ避ける程、滅びはますます現実化してしまう。
②生命体や社会を観察していると、いつも、病気や衰退のきっかけは小さな異常事態の発生から始まる。もっと正確にいえば、異常事態が頻繁に起こるようになっても、それは例外だと見過ごし「大したことはない」と放置することによって、フィードバックの仕組みが効かなくなることから始まる。厄介なのは、この異常事態の見逃しに対し、「科学（＝エビデンス・サイエンス＝実証科学）」が正当化する役割を負うことがあるという点である。・・・それが実証された時には、既に取り返しのつかない不可逆な事態に陥ってしまうことになる。