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民族興隆のカギは、その民族の性向と、作り上げたシステムにあり。というのが著者の基本主張だと思う。本書では、ローマ人はその民族の性向として開放的であるという点が強調されている。小さな火種から戦争をすることになった敵国であっても、征服後にその国の有力者をローマ貴族として受け入れたり、敵国の侵入をも容易にしてしまう道路網を整備したりといった点にその性向が現れているという。貴族とその後援者という社会システムが、そのまま政治や軍事に活かされていたり、階級抗争をひとつのシステムを作ることで緩和してみせたり、「ローマ連合」の外交上のシステムも見事なものである。何よりも興味深いのが、王(後に執政官)、元老院、市民集会という権力の三極構造である。この仕組みが前753年の建国とほぼ同時に存在していたというのは、何か奇跡のような気もしてしまう。ローマ建国の中心人物にして初代の王であるロムルスという人物は、なにゆえ当時の一般的な王とは違うシステムを作り上げたのか?という点に対して興味が尽きない。
ローマだけでなく、ローマに多大な影響を与えたギリシアの歴史について触れらているのは、この当時の地中海世界に対する理解が深まると思う。しかしペルシア戦争の原因が宗教的イデオロギー闘争の面が強いという主張には賛同しかねた。

2012-06-23 02:12:44

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