「奥の思想」では、三田の町の石垣で囲まれた細い路地に、密度の濃い小さな〈空間のひだ〉が感じられる描写があり、私の見知っている懐かしい空間と重なってくる。
そして、老女が住む小さな町家の「奥」についての描写もたいへん印象深い。間口四尺にも満たない入口、格子をひいて入ると上りかまちは正面ではなく側面に設けられている。
障子をへだてて続く炬燵のある四畳半、さらにその奥に....
「私が驚いたのは、この僅か八坪に満たない小空間の中に展開する方向性の複雑さであり、座の重畳性であった」(槙)
「奥」は、空間のみならず、心の奥というかたちで心理的なものも表していると筆者は述べている。日本人のこころの奥に隠されているなにかとても大事なものを
筆者が愛おしむ気持ちが伝わってくる「奥の思想」です。
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Naomi Matsunaga