Aya Yabumoto's Bookshelf Aya Yabumotoさんの本棚

A級のまま亡くなったプロ棋士のノンフィクション。もっと早く読めば良かった。同じ時代に生きてたのに。

A級のまま亡くなったプロ棋士のノンフィクション。もっと早く読めば良かった。同じ時代に生きてたのに。

最初の2,3話読んで、「えーだたのおしゃんてぃなコメディー漫画買ってもうた…」と後悔しかけたけれど、全然違った!!最終的には号泣した!!

何だろう、平たく言うと、みうらじゅんの漫画「アイデン＆ティティ」現代版。「アイデン~」が、日本のロックシーン全盛期のその喧噪のなかにあった張本人たちの高揚・熱気・失望・渇望のもろもろだったけど、「おざなり君」は、そもそも今の日本にロックなんか存在しえないよ、ってゆう共通した時代の諦念の中にあって、もちろんそんなことは頭では分かってんだけどでもやっぱりあのキラキラした時代が忘れられず、この覚めた時代に違和感感じていまいち上手く生きていけない人のお話。

浅野いにおは「ソラニン」で全く同じテーマを、うまい具合に恋愛や今の時代の生きづらさなどの成分とごちゃまぜにして中和して発表していたけど、「おざなり君」ではロック願望純度100パーセント丸出し待ったなしの爆風吹き荒れ祭りを開催している。

なんかこのふざけた画が苦手ナノヨネ、とか言わずに読んでみてよ、大人になれない君たち。

読み返してみた。気色悪いとか後味悪いとか色々言われるお話だけれど、私は好きだ。そりゃあ実の父子の近親相姦祭りだし、巷のあふれるセンセーショナルなのが売りの話は真っ向嫌いだけど、これは濃密な家族小説だと思う。

今更全巻大人買いした。古谷作品、「わにとかげぎす」までは買っていたけど、「ヒメアノ～ル」は1巻発売と同時に友人宅で見つけてしまったものだから、その後も友人宅で全巻読んだ。しかし「こいつ漫画読みにウチに通ってんじゃねーの？」と思われるのも悲しい、という気の小ささなので、やっと揃えた、そんだけ。ちなみにギャグじゃない古谷作品はやっぱりどんな新しいの読んでも「ヒミズ」がベストだよなぁと思う。