Michiyo Iino's Bookshelf Michiyo Iinoさんの本棚

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バイエルはつまらなくて嫌いだったけど、106番が終わった時は嬉しかった!という思い出を持つ人は多いはず。フェルディナント・バイエルは、意外にも、本国ドイツでも日本でも、どういう人物か全く分からないままベストセラー作曲家であり続けた。音大教授が4年の歳月を費やし、幸運の女神に導かれ、世界で初めて、バイエルの実像を掴むまでの話。後半は興奮で一気に読めてしまいます。

2012-07-07 22:21:05

読売新聞に週1回連載されていた小説。美苗さんの母、水村節子『高台の家』を読んでから読むと、より楽しめる。「自分が望むようには愛されなかった」という表現が上手いと思う。ワガママな母に振り回され、夫の浮気に傷付き、母が亡くなり、3.11があり、満開の桜が目に飛び込んできたラストシーンで、人生の全てを受容し、感謝し、私は生きている!と叫ぶ主人公。本を読み終えて随分経つけれど、この場面を頭の中で何度も反芻しています。

2012-05-12 03:13:11

美しいヒエログラフで書かれた、エジプトの有名な『死者の書』。こういう内容だったんだ!と初めて分かりました。どういう思いでミイラを作り続けたのか、その死生観を理解することができました。時代や宗教が違っても共感できます。「まんがで読破」シリーズは秀逸。既に20-30冊読んでいますが、名著を簡単に読めて、興味があれば(翻訳だけど)オリジナルを読んだり、関連書物を読んでいます。「まんがで読破」シリーズで一番良かったのは、マルセル・プルースト『失われた時を求めて』。オリジナルは長すぎ&難解で挫折する人が多いので、マンガ版で世界中の人に読んでほしいと思う程。

2012-04-04 02:32:18

1942年ナチス占領下のパリで、13000人ものユダヤ人(女性・子供も多数)が(ゲシュタポではなく)フランス警察!によって一斉検挙された。その後アウシュビッツに送られて、生還者はほとんどいない。フランス人にも知られていないこの事実をモチーフにした小説。(フランスの学校で教えられていないのは、国の恥だからでしょう。)12月に読んだ、同じくナチスをテーマとする『郎読者』より1000倍心を揺さぶられた。『サラの鍵』の作者が女性だからかもしれない。45歳在パリ25年のアメリカ人女性ジャーナリスト(フランス人と既婚)が、この事件(ヴェルディブ一斉検挙)60周年追悼記事の取材を始め、この事件と夫の実家が深い関係にあることが分かり、事実を解き明かしていく。この事実が多くの人を再び結びつけたり、ある人の人生を変えたりする。

『アンネの日記』も、『サラの鍵』もそうなのですが、ホロコーストの話を読むと、胸が締め付けられ、嗚咽が漏れる。2週間前に読んだ『写真の裏の真実』という太平洋戦争末期の硫黄島の真実を追った作品でも思ったが、戦争を実際に知る人は次々と鬼籍に入っている。私は書物を読み、子供達に伝え、いつか一緒に同じ本を読んで話し合うことしか出来ない。

『サラの鍵』は映画化されていますが、私は本だけにしていたい気持ち。

2012-02-15 09:08:47

福島県双葉郡川内村在住の作家による震災の記録。千代田区の17倍の面積に1000戸の川内村では行政による避難や状況報告の連絡がなく、テレビで知る状況だった。1世帯100万円、単身75万円の補償仮払い金は、10人家族でも100万円、もし8人の子供が別に住んでいれば総額700万円、未入籍カップルは150万円、という不公平なもの。飯館村、葛尾村、南相馬市、相馬市など今まで原発の恩恵を受けずに自力で頑張ってきた地域は、1世帯5万円で孤立無援状態。自宅より放射能汚染が酷い避難所に行けば3食昼寝付きで毎日がお祭り。家事食費が自己負担の仮設住宅に移るのを拒否する人多数。避難所近くのパチンコ屋は大盛況。避難所にいた人は補償金が増えると噂があり、避難所を別荘代わりにする人多数。温泉に避難した人は毎日が慰安旅行で出ていくのを嫌がる人多数。仮設住宅入居者に配られた日赤家電6点セットを、6人家族なのに2人ずつ3世帯申し込み、1セットを自宅の古い家電と交換、1セットを仮設で利用、1セットをヤフオクで売却する人多数。読んでいて嫌になることが正直に書いてある。原発の愚、再生可能エネルギーの愚の指摘も的を得ている。

2011-12-24 00:28:15

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