Gen Sakata's Bookshelf Gen Sakataさんの本棚

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「グローバル化の時代とはいえ、なんでもグローバルに統一することが必ずしも有効に機能するわけではないのです。むしろ一括りにされることを嫌い、自国の独自色を示すことにモチベーションを刺激される人たちも多いと感じることもしばしばでした。日本のように長い歴史と独特の文化を持つ島国と違って、地続きで似通った部分も多く、かつ歴史的に何度も国境が変わったり国名が変わったり、独立して間もなかったりという背景を持つ国々では特に、日本人がびっくりするほど、その点にこだわりを持つ人がいるように思います。ハンガリーで過ごした1年弱の間、そのことを改めて思い知らされました。そして、こうしたことを学び、本社に伝えることもまた、赴任者の大切な責務だと知ったのでした。」

多様性を力にして高みをめざす
第2章「違い」を活かす

2014-03-23 11:00:32 (95 Page)

「レンガを積む職人の話を聞いたことがある読者も多いでしょう。レンガの壁を作っている職人に、『あなたの仕事は何ですか』と聞くと、ある人は自分の仕事を『レンガを積む仕事だ』と言い、またある人は自分の仕事を『壁を作る仕事だ』と言い、またある人は自分の仕事を『教会を作る仕事だ』と言ったという話です。通常この話に登場するのは三人ですが、もし四人目が存在したら、『人々が幸せを祈り、心の平穏を保つ場をつくる仕事だ』と言うかもしれません。…

…同じ内容の仕事をしていても、捉え方・意味づけ次第で全く変わってくるのです。」

2014-01-30 13:14:09 (80 Page)

「それでは、どうして日本で医療機器産業が栄えないのか?日本のお家芸であるはずの精密機器の分野で、なぜ医療だけが放置されるのか?

結局は、この問題も、国民皆保険と診療報酬制度に行き着きます。たとえば、国がMRI検査の診療報酬点数を大幅に引き下げたとしましょう。すると、メーカーもMRIの販売価格を引き下げます。そうしないと病院から買ってもらえないのですから、やむをえません。

ところがこのとき、国はMRIの研究開発や製造コスト、またメンテナンスなどの原価計算をいっさい考えていません。ただ予算ありきで点数引き下げを行っているだけです。その結果、メーカーは損益分岐点を下回った価格でMRIを販売せざるをえなくなる。こんな馬鹿げた話が実際に起こってしまうのです。

本来、モノの価格は市場によって決められるはずなのに、医療機器はそうならない。国がいい加減に決める診療報酬点数に連動する形で対応していかざるをえない。

ただでさえ医療機器には事故発生時の訴訟リスクがあるのに、こんなでたらめな制度のもとでは、多額の研究開発費を投じるメリットなどありません。国内メーカーが撤退していくのも当然でしょう。…

…国内でしっかりと利益を確保できる基盤があれば別ですが、国内でさえ稼げる保証がないのに、わざわざ巨額の投資をして海外進出するメーカーは少ないでしょう。結局は、診療報酬という理不尽きわまりない制度のせいでメーカーが育たないのです。

日本の製造業、とくに精密機器には、まだまだ世界に負けないだけの確かな技術力があります。しかし、せっかくの技術に、国の『制度』が食いつぶしている。国民皆保険とそれを支える診療報酬制度があるかぎり、日本の医療機器メーカーが世界を席巻することなどありえないのです。」

医療の輸出産業化を阻むもの
第3章 医療がこれから日本の基幹産業になる

2013-09-01 13:19:49 (122 Page)

「『もの』の世界をおろそかにして、『つくり』の世界だけで考えた場合、いかに人件費を抑えるか、いかに生産リードタイムを短縮するか、といったコストダウン競争に終始してしまいます。そうなった場合、日本の企業はどの分野からも撤退していくしかなくなります。

『つくり』の部分でいえば、韓国もこれから中国に押されていき、その後には中国からインド、インドから中近東、中近東からアフリカへと移っていくことになるでしょう。『もの』で勝負ができなければ、今後の展望は拓けません。

そういう話をルイ・ヴィトンの役員にしてみたことがありますが、彼らは『材料が二千円の商品であっても、もの(設計思想)によって二十万円で売れるようにするのがビジネスだ』『コストダウンなんて考えたことがない』というふうに話していました。

また、つくりの部分をどこに委託しているのかを聞いてみると、『賃金の高い韓国に出している』とのことでした。韓国の人件費は中国の三倍くらいになりますが、その分、つくってくれる製品は信頼できます。賃金が安いからといって手を抜かれてしまうと、ブランドイメージに傷がつくので、中国などへの生産委託はできないと考えているのです。

こうした考え方ができることにしても、『もの』の部分で勝負ができているため、材料が二千円の部分でも二十万円で売れるということが前提になっています。だとすれば、三千円で済ませられる加工費が一万円になっても大きな問題にはならないので、こうしたやり方ができているわけです。

このように『もの』の世界の部分こそが、これからのビジネスの鍵を握ります。それがルイ・ヴィトンのようなファッション業界の話だけではないのはもちろんです。」

●ルイ・ヴィトンのビジネス
第四章 グローバル時代の「ものづくり」

2013-08-28 10:01:49 (138 Page)

2013.08.24 購入
ビートたけし名義の本はハズレがないイメージ。

2013-08-25 11:44:53

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