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福井くんに借りた

2012-04-10 14:04:58

はっきり言って難解。

AppleやGoogle、TwitterやFacebookがなぜ米国から、シリコンバレーだけから生まれるのか。誰しもが思い浮かぶ疑問ではある。

本書の結論を言えば、それは宇宙的・全球的に構想できる力を養えたから。しかしこの結論を導き出す過程が相当に複雑。

まず強調されるのは「理想」の競合。アメリカでは「理想を語ること」が批難されることはなく、むしろビジョナリとして賞賛の対象になる。そしてジョブズ、ラリー・ペイジ、マーク・ザッカーバーグといった人物を対照させながら、こう説明する。

「ビジョンに牽引されて開発競争を行う企業間の競合は、だから、そうした理想を支える思想の対決という一面を持つ。…GoogleもFacebookも(あるいはAppleやAmazon等も)、直近の営業上の競合とは別次元で、理想を巡る思想的な競合を展開している」(261)

たとえばGoogleは「徹底的に機械化=アルゴリズム化を進めることで…人間の恣意性を排した客観性=公平性を担保」しようと努めるが、Facebookは「あくまでもネットワークを操るのは人間」でありいわばヒューマニズムに則っている(263)。この理想をめぐる競合こそがサービスを磨き上げる源泉というわけだ。

さらに米国では、このビジョンを支えられるだけの経営システムが成り立っているという。

「ザッカーバーグは、Facebookのなかで長期の行動イメージを予期するビジョナリの役割を果たしている。実務の方はCOOのシェリル・サンドバーグが取り仕切る。この、(技術に理解のある)ビジョナリと(経営を取り仕切る)実務家の双頭体制が、アメリカのウェブ企業の世界では当たり前になりつつある」(205)

そして、こうしたビジョン(理想)と経営システムを根幹で支える思想がある。それが「宇宙開発」。「宇宙開発という目標が、今日に至るまで技術開発の全体性を与え続けてきた」(302)。「宇宙の真理を解明すること」よりも「技術で世界を変革できる」という信念がシリコンバレーで働く人びとに底流としてあり、宇宙=全球(Universal)規模で構想する下支えをしているのだという。

ワンマン社長と集団指導という、両極端しか出てこない経営、上場企業ならずとも収益化がまず先に志向される今の日本にあっては、シリコンバレー的な成功は遠い。

2012-04-08 14:53:47

標題を読んだだけで何がいいたいかが分かるような本だが、テクノロジー&ビジネス側からのアプローチではなく、カルチャー&人間側からのアプローチとしてユニークで刺激あり。やや、散漫な感じはあるが、今後はWhole Earth=全球からの視座で見て行く必要がある主張を評価したい。

2011-05-29 11:00:02 260p

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