有栖川有栖のデビュー作。
大学のミステリ研の仲間たちと登山にむかった主人公たちが、道中道連れとなった学生たちとともに訪れたキャンプ地で火山の噴火によって閉じ込められてしまう。そんな異常事態の中で行方不明事件に続いて殺人が起こる。自分たちが生きて戻れるかどうかわからない境遇で起こる殺人事件の犯人は?というストーリー。
本作は江戸川乱歩賞に応募されたものの、落選した作品をベースに再構成されたものだそうだが、火山によって閉じ込められるという発想は面白いといえるが、途中の展開はやや冗長で、「マジック・ミラー」や「47番目の密室」に見られる小気味良い、引きつけられる展開とは若干異なる。しかし、ストーリーにちりばめられたヒントは過不足なく提示され、作者から読者への挑戦を突きつけるくだりがあるなど、ミステリマニアにはくすぐられる趣向も凝らされている。
物語をかたるのが作中の有栖川有栖という大学生というのも、クイーンにならっている(似たようなところでは法月綸太郎がいる)が、あくまでも探偵役は別人で、本作では江神二郎がつとめ、学生アリスシリーズとしてシリーズ化されている。
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Atsushi Egi