有栖川有栖のデビュー第2作。
作者が書きたくて仕方ないと思えるほどに、小説を書くことに没頭した作品で、月光ゲームで感じた展開の遅さや冗長な感じは払拭され、ある意味洗練されてきていて、テンポも良く読み進められる。
そもそもの展開が絶海の孤島に遺産として隠したとするダイヤを見つけられるかと言われて謎に挑むことになった主人公たちが、その島で凄惨な殺人事件に遭遇し、事件の謎にも挑むことになるというもの。
タイトルに「パズル」とあるように、遺産を見つけるためのヒントが島に点在するモアイのパズルだったり、登場人物がジグソーパズルに没頭していたり、本格推理をパズルということ以外にもパズルに関連するものがちりばめられている。モアイについては顔のむきがヒントになるところまでは簡単にわかったが、その先に提示される結果から類推する展開まではなかなか読めず、作者のパズルに対する思い入れの一端がうかがえる。
犯人に至る道筋やいわゆる解答編の論理的な説明はまさしくパズルのピースがあるべき場所に収まっていくパズルとしての推理小説の王道を行くもので、「読者への挑戦」がきちんと用意されているのもミステリ好きにはたまらないだろう。
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Atsushi Egi