Tomohisa Yoshikawa's Bookshelf Tomohisa Yoshikawaさんの本棚

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2001年9月11日以前に、アフガニスタンやタリバンについて書かれた本。冷戦終結以後、世界の目はアフガニスタンに向けられただろうか?アフガン戦争勃発でいっきに世界の目はアフガニスタンに注がれることになったが、バーミヤンの仏像が破壊される事件が起きるまで、アフガニスタンは世界から忘れられていなかったか?という、世界のアフガニスタンに対する無視についての問題定期の書と受け取った。
アフガニスタンに存在する問題について、きちんと理由付きで説明されており、それに付随する難民問題、パキスタンとタリバンの関係性にも言及がある。いずれも深くはないが、おおまかに知るには適当な内容になっている。
アフガニスタンの隣国、イラン人として、イラン人の「客人歓待」の矜持をもって、イランのアフガニスタンに対する関与を呼びかけている。

2012-08-31 12:40:12

民族興隆のカギは、その民族の性向と、作り上げたシステムにあり。というのが著者の基本主張だと思う。本書では、ローマ人はその民族の性向として開放的であるという点が強調されている。小さな火種から戦争をすることになった敵国であっても、征服後にその国の有力者をローマ貴族として受け入れたり、敵国の侵入をも容易にしてしまう道路網を整備したりといった点にその性向が現れているという。貴族とその後援者という社会システムが、そのまま政治や軍事に活かされていたり、階級抗争をひとつのシステムを作ることで緩和してみせたり、「ローマ連合」の外交上のシステムも見事なものである。何よりも興味深いのが、王(後に執政官)、元老院、市民集会という権力の三極構造である。この仕組みが前753年の建国とほぼ同時に存在していたというのは、何か奇跡のような気もしてしまう。ローマ建国の中心人物にして初代の王であるロムルスという人物は、なにゆえ当時の一般的な王とは違うシステムを作り上げたのか?という点に対して興味が尽きない。
ローマだけでなく、ローマに多大な影響を与えたギリシアの歴史について触れらているのは、この当時の地中海世界に対する理解が深まると思う。しかしペルシア戦争の原因が宗教的イデオロギー闘争の面が強いという主張には賛同しかねた。

2012-06-23 02:12:44

ローマ皇帝にしてストア哲学者であった、マルクス・アウレリウス・アントニウスによる書。古代ギリシア哲学に関する前知識がなくても、注釈を頼りにすれば読める内容であると思う。訳者解説によって、彼の人となりを理解してから読むと、まさに「自省録」という名前がぴったりという風に思える。もともと公開を目的としていないので、同じような事が書かれている部分が幾度も出てくるが、これによって逆にストア哲学に対する理解が深まるように思える。
宇宙や自然に対する観念には共感をおぼえ、わずらわしい人に対する考え方では、新しい視点を得られた。いわく、悪徳をなす人がいない世界などありえない、ならばありえないものを望むのは愚かである。他人の悪は避けられないならば、せめて自分自身の悪は避けるようにした方がいいだろう。

2012-05-20 09:00:52

「面白くてためになる」そのうえに読み易い、知情意を刺激する歴史物語。
ローマ人の物語を読むのは、これが初めて。著者自信が、「歴史書ではない」と言っていたという情報を得ていたので、歴史小説のようなものなのかと思っていたが、歴史に分類してもいいと思える内容だった。読み手を引き込むような小説のような手法もあり、著者自身の観点(ストーリー立て)も織り交ぜられているが、そこに偏りがあるものの、逆にその点こそが本書を読みやすくしている大きな魅力だと思う。
三回におよぶローマとカルタゴの戦争が、毎回次回が気になる連続もののストーリーのように描かれている。各人物の人となりもよく描かれており、歴史事実をドラマチックに演出している。
ポエニ戦争の中心人物、ハンニバル。この稀代の…と言うか、人類史上最高と言ってもいい戦術家の人物像がわかり、彼の強み、弱みも理解することができた。それと同時にローマの政治、軍事システムの優秀さを知ることができたのはとても大きい。
ハンニバルは偉大な戦術家だったが、戦略家ではなかったという評判は概ね正しいと思う。しかしそのハンニバルにしても、彼を最後には打ち破ったスキピオにしても、晩年は恵まれなかったようだ。盛者必衰と言って片付けてしまうにはあまりにやりきれない人間の移ろいやすさを感じずにはいられなかった。

2012-05-06 11:38:59

「人は幸せでなければならない」という強迫観念、不幸なことは悪いことであるという価値観が今の世の中にはある。はたしてこのような価値観はいかにして幅をきかせるようになったのか?というところから始まり、それを近代以前の日本の価値観と対比させ、批判しているのが主な内容。
産経新聞への寄稿で前々から興味のあった人物で、今回初めて著作を読んでみた。独自の問題の捉え方をする人だなと思ったら、なるほど日本の思想、哲学に精通している人のようだ。アリストテレスやハイデガーの引用などもあるので、いわゆる哲学史の知識もある人なのだろう。そこをベースに、本来の日本的な切り口で、現代社会を評論している。
問題提起が主体になっており、それに対する回答がないところは、「わかりやすさ」を求める人には向いていないと思う。しかし、テレビに出ている評論家、知識人たちとは、明らかに異なる切り口と、より根本的な問題に切りこんでいく姿勢から、現代日本社会を見る上で、他では得られない視点を得られると思う。

2012-03-10 13:26:10

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