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裏千家を嗜む人物の著書。一流の人達について書いているというよりも、お茶の精神を説いた上で「だから一流の人の中にもお茶を究めようとする人がいる」と言っていると考えたほうがいい本だが、精神を知るには素晴らしい内容だ。「ルールがあるのでエゴが出てくる場面が少なくなる」には納得。茶道には決まり事が多いという印象を持っているが、エゴの出番がない=心が穏やかになるという点には目から鱗である。しかし、茶道はやさしさでできているので、ルールを守ることで他の人を傷つけてしまう可能性がある場合は、あえてルールを無視することもある。すべては相手への思いやりだ。
ビジネスにおけるマナー本が横行する今、もろもろの事情が許せば、お茶を学ぶことのほうが根本的な自己啓発に通じるように感じる。迷った時には『和敬清寂』の精神に立ち返ればよい。
一歩離れて、日本を眺める視線を提案する―外国在住だからこそ書ける内容だ。戦後の敗戦処理や原発対応、サービス全般、教育について述べている。
ドイツが軍隊を持つ理由には激しく同意。ドイツも日本も、戦争をする気がないという考えは同じだと思う。日本での原発の話題を利用したドイツの政治家やメディアが自然エネルギーに突っ走っていく様は興味深い。ただし、現在はバラ色の再生エネルギー信仰からは一歩後退しているように思われるが。
ドイツ人から見れば日本人が悠長に構えているように思えることもあるだろうが、小学生の頃に将来を見越した動きをせねばならないドイツに比べれば、やり直しがきく日本は素晴らしいと思う。
一番驚いたのは、ドイツでは医者さえも平気で2~3週間休むことだ。それだけ完璧な代行システムが様々な業種で構築されているからだが、日本ではなぜか観光業だけはいろんな理由で遅れており、日本人がドイツ人と同じように休むのは不可能だと筆者は考えている。
TPPでの日本の立ち位置はEUでのドイツと似たり寄ったり―最後はこういった話で終わる。寡黙は日本以外の国では美徳ではないゆえ、どのように動けばいいのか、日本はドイツの動きを注視すべきである。
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恵文社一乗寺店のような感じの本屋で購入し、数時間で読破。大型書店には置かれないような本だろう。内容は、筆者の一乗寺店での歩みに始まり、試行錯誤した品揃えや『左京区』という街の持つ独特なにおい、経営を考える上で参考になる他のお店(本屋以外にも様々に)の情報も書かれている。街の小さな本屋が次々に消えていく現状をいかにして乗り切っていくか、そのヒントを手に入れるために、筆者は今日も街歩きを続けているのだろう。大型書店だけでもつまらないし、個人商店の本屋だけでも物足りない。棲み分けは大事だ。
2014-04-26 09:23:25ちなみに、私は1度だけ恵文社一乗寺店に行ったことがあるが、本屋好きにはたまらない棚が訪れる人を迎えてくれる。ここにハリポタは不要だ。