目から鱗が落ちるとは、まさにこの本の事。
日本の収支をバランスシートで考える事によって、明確に如何に今の報道が正確性を失っているのかをよく示している。(最近簿記の勉強をしているので特にそうだ)
国の借金1000兆円と国民の預金総額1500兆円とは全く分けて考えなければいけないもの、という事をきちんと理解している日本人が一体どのくらいいるのか、ちょっと怖くなった。
また、財政や金融の知識がない自分でも、国が経済を立て直すために遣るべき事ががよくわかる様に解説されていて、大変為になった。
ここから一歩踏み込んで、ではどうして今の日本に閉塞感があるのか、それをどうしたら打破できるのかを経済を軸に考えていきたいと思う。
日本は,1;経常収支の黒字国であり,2;世界最大の対外純資産国で,3;国内が過剰貯蓄状態,4;国債金利は世界最低,5;国債は全て自国通貨(円)建て,等々の理由で世界の国々のなかで最も破綻しにくい国であると著者は指摘。その上で,現在のデフレ状態から脱却し景気を上向かせるためにはどうすれば良いか論じている。
正しい情報に基づいて正しく判断することが重要だが,歪められた情報がマスコミや評論家によって国民に日常的に発信・提供されている,と著者は警告している。
多くの人に読まれるべき一冊だと思う。
ちなみに,なぜ韓国やアイスランドが破綻を免れたのか,破綻を回避するのは相当難しいとされるギリシャや他のユーロ圏諸国と何が違うのか,といった点にも触れている。
世界でいちばんかどうかはさておき、日本の経済的な実力が未だに高いレベルで維持されている事や、国内の景気を上向かせる為には、デフレ下では政府による財政出動で民間事業を活性化するしかない事など、とてもわかりやすく書かれている。特に、なぜ日本の財政は破綻しないのか、破綻論者の大いなる勘違いをバッサリと切っていく様は爽快ですらある。
今国会で議論されている増税論議はそもそも震災復興の側面が大きいと思われるが、増税すると景気は減退する事、デフレの進行を食い止めないと景気回復は望めない事などを考慮すると、増税をしないで国債を発行することで資金調達し、これによる財政出動と日銀のインフレ抑制策の緩和によって緩やかなインフレを招く事で景気の加速、それに伴う税収増を目指すのが良いという著者の意見に賛同したくなる。
いずれにしろ、国家財政は地方自治体はもちろん、企業や家計などと同じように考えてはいけないという事だけでも腑に落とす事ができるという一点だけでも読む価値があると思う。
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Kiyoto Takeuchi