and more.
上巻で提示された謎の数々が見事なまでに収斂していく下巻。
いわゆる本格ミステリではなく、ホラーに分類されているのは、舞台となっている町で起きるこの数々の現象が誰かによって引き起こされているのではなく、まさに現象として起こっていること、記憶や記録すらも歪めてしまう力があるという設定に他ならないが、キャラクターの台詞回しや次々と提示される謎が一つの終局点にむかって収斂していく様子はミステリと呼んで差し支えないと思う。その意味でも、解説に書かれているように、「ホラーでありミステリでもある」というのは正しい評価だと思う。
綾辻作品は珠玉の名作「暗黒館の殺人」に代表されるように、映像化するあるいは音声として発してしまうとおもしろさが陳腐化してしまう、活字でしか成り立たない作品というものがあるが、本作もその範疇に入る要素を持っている。物語最終盤でそれが明かされるが、このあたりも綾辻行人らしいと感じる所以か。
なお、本作はマンガのみならず、アニメや実写映画化も予定されているようで、活字ならではがどのように映像化されるのか、興味をひかれるところである。
Wow! ノートはまだありません
Atsushi Egi