「俺俺」はジャケ買いならぬ装丁買いだった。今の世の中に生きる中で否応なしに感じる孤独感、葛藤、先行きへの絶望を絵に描いた石田徹也の絵が装丁に使われているのでインパクトが強く、山積みの書店の本の中でものすごく目立っていてすぐ手に取った次第。内容はというとこれまた石田徹夜が描こうとした絶望的な今をかたったらこんな話が生まれるかもといったお話が紡がれている。ある日自分知人と入れ替わってしまったような不思議な感じを焦っていると、それは実は知人が俺になってしまったゆえの混沌だということに気づく。どんどんどんどん俺が増殖し、きらっていた職場の先輩まで俺だということにあいなりそのことで先輩をきらいだったのは醜い自分の内面を見せつけられていたが故の嫌悪だったことにも気付かされ、日々増殖する俺から逃げることもままならずつには絶望の淵をのぞきこむことになっていく。こんな話なので読みたい方はものすごく元気な時に読まないと作者の罠にはまり落ち込んでしまうこと100%請け負えるので、興味のある方は超元気な時に読み飛ばすか、ものすごく泣きたくて落ち込みたいときにお勧めします。「悼む人」よりは明るい話ですが。
2011-08-29 09:50:18Wow! ノートはまだありません
Hikaru Sato