プログラミング言語の解説書なども執筆している著者による数学マニアな小説第1弾。
主人公が高校時代に二人の少女(同級生のミルカさんと一年後輩のテトラちゃん)と一緒にさまざまな数学の問題を考えていくというお話。すでに学校を卒業して長い自分にとっては、行列計算とか組み合わせとか、もはや忘却の彼方でちんぷんかんぷんのものが多かったが、バーゼル問題の解法の所は突然道が開けるような心地よさとともに、この解法によって一つの回答に収束することの驚き、この解法を発見したというレオンハルト・オイラーという有名な数学者の発想にただただ圧倒される。
数学が苦手でも、数式の意味がちんぷんかんぷんでも、数学の苦手なテトラちゃんというキャラクターが一つ一つ確かめながら、主人公に教わりながら、読者と一緒に数学の森を歩いてくれる。物語だけを追っていってもそれなりに面白いが、数式も読み解きながらならさらに奥深く楽しむことが出来る。数という不思議な世界にもう少し踏み込んでみようと思わせてくれる作品だ。
本書はさらに続編が刊行されており、フェルマーの最終定理などにも切り込んでいくようだ。
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Atsushi Egi