晴れ、ときどきサバンナ―私のアフリカ一人歩き (幻冬舎文庫)

車で走る影響は、花や草を踏みにじるだけでは終わらないのだ。花や木、そして草が育つ土は、毎日のように重い車の車輪で押し潰されている。それゆえ、土中の空気のスペースは失われていっている。空気中から取り入れるミネラルなどが欠けてしまう可能性が高くなってしまう。

野生動物が生き延びるためには、その価値をまず周りに住む人々に知ってもらう。そんな考えが、人と野生動物が共存していく上で大切なのだ。

アフリカだけに限らず、国立公園や保護区の周りに住む人達は、野生動物を獣害視している人が多い。<中略>人間と野生動物の争いが絶えないのは、野生動物が自分達に利益をもたらさない上に、畑の穀物を荒らしたり人間に危害を加えたりと、害しか被らないからである。

ケニアのマサイラマ国立保護区で獣医として働いている滝田明日香さんの自伝。

著者が圧倒的に巨大で美しいアフリカ大陸を舞台に、自分は何をしたいのか、自分はなにになりたいのかという答えを見つけていく姿は、その無軌道ともいえる行動力と合わせて感動的ですらある。