人類史上最高の戦争に関する書物。その真髄は「戦わずして勝つ」。短期決戦、将軍の資質といったことが重視されており、地形や火の活用といった具体的な戦術指南もある。しかしながら、最も重要なのは、戦争とは国家の一大事業であり、多大なコストがかかるものであるという戦略的な認識である。それがゆえに情報を集め、様々な角度からそれを分析し、これから始める戦争に勝てる見込みがあってはじめて戦争を始めるべきだと述べている。これぞ戦争の悲惨さを知っているがゆえの兵法家の思想だろう。平和を求めるからこそ戦争に備えるのである。
また、その情報源としては、占いや噂によらず、間(スパイ)を使い、必ず人によって情報を集めるようにせよとは、2500年前の人間とは思えぬ考え方である。
ビジネス書でも言及されることの多い本書であるが、表面的な戦略論、戦術論ではなく、深い人間洞察に基づいた奥深さを感じて欲しい古典である。その洞察はあらゆる人間の歴史を貫いていると思う。
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日経BP社
Tomohisa Yoshikawa