and more.
ストロベリーナイトと違って深みがあります。面白いです。
テンポよく。2日で読破。
テレビドラマ化されて勢いのついていると思われる、誉田哲也氏による姫川玲子シリーズ第2弾。
本作は巻末の解説にも書かれているように、「父性」というのが一つの大きなキーワードになっている。川土手に止められた車から見つかった血染めの左手首。その身元を洗っていくうちに明かされていく、借金に追われた人たちの行く末と、それに翻弄される家族たちの苦悶。ストーリーを追ううちに、物語とはいえそんなひどいことを、と思いつつ、現実に起こりうる事でもあることにいたたまれない気持ちになった。
主人公玲子は第1作「ストロベリー・ナイト」で明かされたように、暴行に遭った経験を持ち、そこから立ち直る強さとうちに秘めた復讐心に支えられて警察組織の中で活躍している。部下となった葉山則之もまた心に傷を抱えて、もがいている。作者はそんな強さと弱さを併せ持つキャラクターをいとおしく思いながら描いているように思える。
さらに、本作は玲子のライバルともいえる日下警部補の活躍が目をひく。それこそ、玲子よりも主人公らしい働きすらしてしまうため、途中主人公は日下かと思えるほどだ。この日下も家庭人としては悩みを抱えている。ここでも「父性」が見え隠れしている。
「ストロベリー・ナイト」のような派手な仕掛けはないが、その分じっくりとかみしめるように読み進めることが出来る佳作。
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Shigeyasu Nakamura