秋葉原事件―加藤智大の軌跡

派遣切りがきっかけで起きた事件という印象だったが、実際はそれよりも「承認されたい」「人と話したい」という希望が断たれて起きた事件という感じなのだと分かった。理由を説明せずに怒る母親に育てられ、言葉でなく行動（暴力や期待に反する行為）で意見表明する（でも相手は行為の理由が分からずポカン）という不幸な育ちには同情するけど、彼のしたことは許されない。携帯電話の掲示板（2chと違って少人数参加らしい）を見たことがないけど、そこで得るレスを生き甲斐にして、最後には掲示板で誰にも相手にされず居場所がなくなり、大量殺人で終了にする…極端すぎる。現代日本人は田舎の濃厚な人間関係を嫌い、干渉しない・されない自由な世の中を嬉々として作ってきた筈なのに、今ではそれも行きすぎちゃって、孤独が人を自死や殺人に追いやることも。多くの（特に若い）人が「承認される幸福」を得られる社会（話す人がいる社会）を、具体的にどう作っていけばいいのだろうか。