言く、仏法領解の心、すなはち仏願の躰にかへるすがたなり。
発願廻向の心なり。
また信心をうるすがた、すなはち仏恩を報ずるなり。
[意訳]
蓮如上人はおっしゃった。
「佛の教えをそのままに信ぜられた心は、すなわち佛の起こした本願の本質に帰一する事に外ならぬ。その佛の願の功徳を、我々に回施し給う心である。また、別の表現をするなら、信仰を得る姿は、すなわち佛に恩を報ずる思いである」
(大谷暢順著『蓮如上人・空善聞書』36ページ)
空善は蓮如の弟子で、蓮如晩年の言行をまとめたものを『第八祖御物語空善聞書』といいます。蓮如上人が七十五歳で門主職を実如上人にお譲りになり、山科本願寺の南殿に隠居されてから、八十五歳でお亡くなりになるまでの言行が、弟子空善の手によってあざやかに記録されたものです。現代に、この書を注釈したものはこの本しかありません。御文章は蓮如上人みずからのお言葉ですが、蓮如上人ご本人のおすがたを知るには大変素晴らしい本です。その言行の背景を探った大谷氏のお味わいとともに、是非ともお薦めしたい本です。
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Manabu Fukui