世界を立ち上げる文章力というのは、一般に小説家を目指す人が信じているような文章を磨くことではなく、実生活を直視する感性とそこから生まれる哲学により生まれるのだと思う。
締めくくりの5ページにわたって続く情景描写は、これにより作品として離陸させるのに成功している。終わってしまう予感がありありとしつつも、最後のページをめくった瞬間にドキッとしてしまうのは、本を読む幸せ、醍醐味といえる。もっと読んでいたい、もっと続いていてほしいと思っているのに、終わってしまう。その余韻を味わえるのだから。
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Tanabe Akio