プレゼン作りの参考書のつもりでろくに確認もせず買ってしまったので読み始めは期待はずれと思っていたが、読み進めるほどに目にウロコ。企画書やプレゼンの指南書かと思いきや、グラフィックにいかに情報を持たせるかということを豊富な実例をもとに解説する。そのサンプルの量が尋常じゃない。それも最近の資料だけでなく、古くは1935年の地下鉄の地図から、医療解説本やスポーツ本など古今東西の資料からの引用で、読んでいてまったく飽きない。
「仕事は昔のものであっても、制作のコンセプトや、情報を探し、変換、整理し、デザインするための普遍のテクニックがそこにある」(Introduction)
プレゼンテーション作りや企画書作りのスキルは、いわゆる模倣・物まねから実践的に習得する場合と、ひたすら理論を頭の中にたたき込んで構築していく例があるが、前者は応用が難しく、後者は身につけるのに時間がかかるという問題がある。本書は両者をバランス良く取り込んでいて、物まねからの応用も利く即効性も備えつつ、情報をデザインする心構えというか思想の根幹部分を学ぶことができる。
筆者(木村)が「インフォグラフィックスを作るときに心がけていること」(232-233)
1. 見る人の目と心を惹きつける「Attractive」
2. 伝えたい情報を明確にする「Clear」
3. 必要な情報だけに簡略化する「Simple」
4. 目の流れに沿う「Flow」
5. 文字がなくても理解させる「Wordless」
また、クリエイターにフォーカスしたコラムもあり、読み物としてもそのまま楽しむことができる。『プレゼンテーション ZEN』と並んで、資料作りに携わるひとにとっては読んでおいて損のない本。
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Tomokazu Kitajima