特にこれといった専門分野を持たない人が、他人様に「ある、ある、へぇ~、そうなんだ」と言わせる為に辿るべき道筋についての本。言いたいことをただひたすら書いても他人様に「あっ、そう」と言われては意味がなく、「自分の書きたいこと」を「他人が読みたくなるように」書く為の技術が事細かに書かれている。フィクションだと、少々読みづらくともそれが個性だと認識されれば読者は我慢して読み続けるが、エッセイだとそういうわけにはいかない。そこにはハイレベルな思考回路が必要であり、主観と客観を行き来する能力が必要だと感じた。そして、その能力は鍛錬次第で手に入るもののようだ。
余談だが、私はいずれ京都造形大通信教育部の文芸コースに行くことを考えており、そこで学ぶ内容がこの本に書かれてあることに近いと感じていたのだが、最後のほうに「本書は、京都造形芸術大学通信教育部における授業記録に基づき、…」と添えられているのを読んで、この本を手に取ったのは偶然ではないと確信した。私の場合、必要なものはやはり本から与えられるようだ。
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Hiroko Kashimoto