TRANSIT編集長さんのTwitterに「平凡ないつもの生活の中で何も感じることがないなら、世界中どこを旅しようと感じるものはない」という言葉があったが、
まったくその通りだと思う。
幸田文の「旅の手帖」では、さまざまな場所にさまざまな目的で旅をしているが、そのどれもが新鮮な目線で描かれている。
でも、その新鮮さは、彼女の普段からの洞察力に他ならない。
彼女の日常を綴ったエッセイを読むと、その洞察力には圧倒される。
そして、それがさらに研ぎ澄まされた形で旅の上で発揮されるのだ。
わたしたちはあまりにも多くの表現方法を失ったような気がする。
何かに心揺れ動いた時、「かわいい」「きれい」「すてき」そんな一言で済ましてしまう。
わたしもそんな一人だと思う。
どんなに仕事に追われて忙しい毎日でも、心をはっとさせられることがあるはずだ。
その感情を一言で済ますのではなく、心豊かな表現ができたらいいのに。
そうしたら、次の旅はもっと豊かで深いものになる。
「旅の手帖」はわたしにそんなことを強く思わせる本だった。
Wow! ノートはまだありません
Ai Yonekura