「アクロス」元編集長の三浦氏と、私と同い年の社会学者原田氏との対談。本編ではこれにいわゆる“草食系”の現役学生「草男」くんと、「鉄子」さんが加わる。
展開としては、草男君の恋愛観・消費観をダシに、三浦氏と原田氏が分析を加えていくというもの。両者とも自身の若者時代経験を重ねつつも、現代の若者のマインドセットを読み解いている。いくつか気になった部分を引用。長いですがご容赦を。
引用ここからーーーーー
三浦 昔は草食の男性をムチでたたいて肉食にしていただけだと思うんですよ。…結婚したから、子どもができたから、もっと働けとか。好きな仕事は二割しかするなとか。そういうことをいう上司がいるから結婚も子供をつくるのも嫌になる若者が増えて少子化したんだと思うよ。(74ページ)
原田 私はお茶に凝っているとか、人とちょっと違うものとか難しい本をとにかく私は好きだから読むとかって奴もいなくなるか、少なくなるだろうね。
草男 いるんですけど、あんまり言わない。…僕そういうのにメッチャはまってて本当はこうだよとか言ったらKYなんですよ。…だからそういう詳しい奴も空気読んで、一般レベルに合わせるんですよ。(140ページ)
若者一般のコミュニケーションスキルは低下しているのではなく、むしろ求められる基準が上昇している、だから低いスキルの持ち主が「空気が読めない奴」と言われる危険にさらされるのであろう。…現代の若者は、物を消費するのではなく、人間関係の消費に時間とお金を費やしている。しかもその人間関係が情報化されて増幅している。増幅した人間関係を維持するために必要以上に時間とお金の負担がかかるのだ。いわば「空気」を消費しているのである。空気を消費しているのだから、消費が見えないのは当然であろう。(「あとがき」236ページ)
ーーーーー引用ここまで
いまの若者たちの振る舞いは、三浦・原田両氏から見ればタイトルの通り「病理」なのだろう。でも、正確に言えば情報“病”というよりは情報“依存症”なのだろう。抜け出したくても抜け出せないあたりはまさに“依存”している証拠だ。問題は、この「病理」や「依存」状態に依拠した経済がすでに馬鹿にできないほどに成長しているということ。批判ももっともだが、もうちょっと現状をポジティブにとらえ直すことはできないのだろうか。
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Tomokazu Kitajima