たまたま本屋で見かけすぐに購入した。去年出版されていたらと思いながら。
絶版だった『青春は美し』が、この度、新潮文庫から新装版として、文字も大きく、読みやすくなり出版された。ただし、翻訳は変わらず高橋健二のままで、若干古めかしいが、それもまた、この作品には似合っているのかもしれない。
昨年度、ドイツ語の教材として一年間読んだ作品である。だいたい一回の授業で3ページ進むのだが、ほとんどすべての単語が初見で、その都度、辞書を引くため、予習に莫大な時間を費やした。本当に大変だった。それも昨年度のことかと思うとある種の感慨と後悔と、そして、時の過ぎゆく悪意を持った速さに眩暈を覚えるのである。それらの感情がそのままこの作品の感想になり得る。そんな小説である。感傷。青春への感傷である。それも青春時代を過ぎ去った目から見る青春の感傷。
春の思索的な雨が降る卒業式の日に、卒業される先輩のことを思い、また、自らの2年間を悔恨に似た感情を抱きながら、雨粒が落ちていくのに夢が潰えていくのを重ねていた。虚ろな心のようにぽっかり空いた時間をこの青春を叙情的に歌い上げた小説はやさしく埋めてくれた。
ここまで書いて恥ずかしさに悶える。だが、敢えてこの小っ恥ずかしい文章を残しておく。今時中学生でも、こんな文章は書かないだろう。もっと上手くなりたい!
「ラテン語学校生」も収録されている。こちらはまだ読んでいない。
Wow! ノートはまだありません
Hiroki Hayashi