「福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書」と合わせて読んでもらいたい。
事故調の報告書や本書など、事故対応の現状がさまざま明らかになってきているが、何点か真偽の疑わしい部分がある。
一つは、SPEEDIの存在を官邸が知っていたかどうかである。官邸はSPEEDIの存在を知らなかったとしているが、本書では11日午後9時に稼働し、官邸に報告されたとしており、そのことについて菅氏は「スピーディの報告なんてきいてないよ。官邸に伝わったというのと、総理の私に伝わったというのは、全然意味が違うんだ。誰も私に対してわかるように説明してくれた人はいませんよ」と証言しているらしい。
もう一つは、海水注水の問題。海水注水が再臨界させる可能性が指摘され海水注水がいったん中止されることになった(実際は吉田所長が独断で継続していた)ことについて、菅氏は〝海水注入による再臨界〟を恐れ、いったん中止させたが、国会事故調の聴取では「海水で再臨界するわけがない。私にはそれくらいの知識はある」と否定したという。この点について、本書では「菅が『海水を入れて再臨界しないのか』と斑目たちに問いただした」となっており、その後、斑目氏が「可能性として、ゼロではないでしょう」と答えたことで中止指示が出されたとになっている。
そもそも、東電福島第一原発事故対応については議事録などの記録が残されていないことから、関係者の証言によって描き出されているが、官邸内の話は関係者が少なく、口裏を合わせやすいことから、偽証の可能性も出てこようか。さまざま読み比べ真相を探っていきたい。
Wow! ノートはまだありません
Hideki Nakane