版元のメタローグは『recoreco』『LITTERAIRE(リテレール)』など文芸分野を得意とする出版社だったが、2005年夏に倒産。もはや増刷はあり得ないので、本書も現在流通している限り。ミニシアターのように、小さいながらも趣味性が高くて良質な作品を出す出版社がどんどん無くなっていってしまうのは寂しい限り。
前置きはこのぐらいにしておいて本の紹介を。はっきりいって意味不明なタイトル。「音楽をよむ」?「ベスト300」?「完全ガイド」ってどこが完全なの? どうやらこの書名はシリーズものらしく、本書以外にも『写真集を読む ベスト338完全ガイド』などもあることを最近知った。
「音楽をよむ」というからには、「音楽とはなにか?」という原論めいたものを想像するが、そうではない。半分くらいまではクラブ/ダンスカルチャーにまつわるエッセイやインタビューばかりがつづく。酒井隆史や清野栄一の文章など興味深いものも少なくないが、タイトルを見たときの疑問は解消されない。
これが後半になると印象が一変。「オールタイム・ベスト・完全レビュー」と題されたジャンル別ディスクガイドが実に良くできている。基本的なクラブ・ミュージックの諸カテゴリーを幅広く抑え、「ニュー・ウェーブ」から「ジャズ」「ソウル/R
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Tomokazu Kitajima