名プロデューサー、演出家だった久世光彦の死後未出版エッセーを集めて出版されたのが本作。「ひとの心」のおかしさ、哀しさ、嬉しさ、切なさを手をとるように森繁久弥さんから学んだと書いているが、彼と仕事をした男優、女優たちを描くその目はまさしく「ひとの心」をどう演ずることができるひとたちかという観点で書かれていて、かれの演技者を選ぶ目の確かさ、すごさを感じさせてくれる。後半の自身の戦前、戦後の時代の回想エッセーでは、今の時代が失ってしまったもはなんだろうと考えさせられる名文だ。久しぶりに面白いエッセーを楽しめた。
2012-05-05 16:12:12Wow! ノートはまだありません
Hikaru Sato