非正規雇用の問題、2008年にあった年越し派遣村を主導した方々の対談形式で話が進められる本書。
そもそも日本の産業・社会システムとして輸出産業に絞ってしまった所に多くの問題点があるのだろう。そこにアメリカ本体がコケてしまい、日本にも波及が来た時に唯一の軸が折れてしまった。その状況をカバーする為首を切られるのは社員ではなく「非正規雇用」いわゆる派遣だ。社員ではないため着の身着のまま、丸裸で放り出されるわけだ。しかもその派遣はパートやアルバイト以下の時給で働き一日を生きていくだけで精一杯である。
私は、派遣制度が悪いわけではないと思う。経済成長は派遣(非正規雇用)の力が国力となって成長した部分があるだろう。しかし現在の日本社会において、この制度が上手く働いていないことは確かだ。賃金は低く、保障はもちろんない、現在の経済状況では派遣切りも当たり前の様にある。国の保障が不十分なのか。本書が書かれたのは2009年であるが今まさに「生活保護不正受給問題」も発生している。そして3.11以降、東北の復興特需で東北地方に派遣雇用が出てきているがそれもいずれはなくなってしまう。社会福祉を削るべきか、高福祉の社会を目指すのか。消費税が上がるがそこに排除社会を脱出する手段があるのか、私たちはもう少し見極める必要があるだろう。
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Takahiro Uema