『クッキーシーン』という音楽雑誌は、今思うと不思議な立ち位置にいて、『rocking on』『Crossbeat』が扱うようなメインストリームとは距離を置きながら、かつての『米国音楽』のようにアーティスト/音源を積極的に発掘・提案するわけでもなく、かといってクラブカルチャーにすり寄ってもいない。それでいて、いわゆるロックの範疇からははみ出ない。そこそこにニッチで、そこそこにマニアックで、先端的で、そして“おしゃれ”なアーティストやジャンルを手広く押さえる。
かつてはREMなどのUSインディを初めてとして、ステレオラブやトータスといった音響系、最近ではモグワイやプレフューズ73、あるいはコーネリアス、アラブ・ストラップ、ボーズ・オブ・カナダといった、「音楽好き」の琴線を刺激するアーティストを積極的に取り上げる媒体という印象。
前置きが長くなってしまったが、本書はその名の通り、米国のインディレーベルを地域別にまとめたカタログ書。地域のレーベル概説、代表的なインディレーベルの紹介に続いてレーベル出身アーティストのディスクガイド(当然インディ時代の)が続く。キャット・パワー、チボ・マット、ソニック・ユース、ショーン・レノン、そしてジョンスペ、マーキュリー・レヴにトーキング・ヘッズ…これらの共通項は? ニューヨークで活動し、ニューヨークのレーベルから音源を出したアーティストたちだ。こういう切り口はとてもユニークで、読んでいくとアヴァンギャルドな東海岸、雑食性の高い西海岸、保守的な南部というような区分けがはっきりしてくる(もちろん例外ってある)。
SST、Thrill Jocky、K、Kill Rock Stars、Touch
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Tomokazu Kitajima