米国の大学で教材として使われているというロックミュージックの概説史を邦訳したもので、1940年代から90年代まで、ロックの様式分化と融合を時系列で概説する。
ジャンルはおおよそ時系列で章立てされていて、前巻はブルース、カントリー、ゴスペルというロックのルーツから70年代前半のサイケデリックおよびカントリー・リヴァイヴァルまでが記述され、 後巻ではシンガーソングライター、ファンクの隆盛からパンク/ニューウェーヴ、80年代中盤から90年代初頭にかけてのオルタナティブまでを含む。
それぞれの章ごとに、楽譜付きのリスニングガイドにくわえて、テンポ(BPM)や詞、楽曲構成、楽器構成なども記載されており、文字通りに教科書的な構成。クラシック音楽の音楽史をロック・ミュージックに応用したみたというものと見なすことができる。形式的に見ればディスク・ガイドというより楽曲ガイド・アーティストガイドに近いが、引用曲の購入情報(国内盤情報も含まれる)はしっかり記載されており、その意味でも良質なディスク・ガイドとしても機能している。
教材であるゆえに用語解説・索引・年表など付属資料も充実しているので、事典のように常にかたわらに置いておきたい。トレンドに乗ったジャンルをちょっとお手軽に選盤してみました的なノリではなく、解説もリスニングガイドもひたすら丁寧に吟味してつくられているというのがいい。ちなみに上下巻ともすでに絶版。望みを言うなら、2000年代の情報をアップデートした新版が見たいところ。あと価格ももうちょっと手頃だと嬉しい…
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Tomokazu Kitajima