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さて、本日ご紹介する一冊は、
作業療法士でユークロニア株式会社代表、菅原洋平さんの、
『朝昼夕3つのことを心がければOK! あなたの人生を変える睡眠の法則』です。
僕は大学時代に、朝晩逆転が治らなくなり、慢性的な頭痛にも発展して
医者にかかったことがあるので、睡眠が不規則であることの辛さを
誰よりも知っています。
そして、今は仕事で徹夜も多く、この睡眠の質がパフォーマンスを
左右することも痛感しています。
明け方に作った資料を翌日見ると、逃亡したくなります(笑)
そんな悩みを抱えながら手にとった本書ですが、「3つの法則」を中心に、
睡眠を最適化することにより、やる気が誘発されることが学べます。

その法則とは、次の3つです。
1.朝5分─光の法則
体内時計は太陽の光を見るとリセットされる(1日が始まる)ことから、
朝太陽の光をあびる事により、体にリズムを作り出すための法則です。

2.昼5分─負債の法則
実は、午後の眠気は、僕たちにもともと備わっている
睡眠と覚醒のリズムの働きなのだそうです。
脳の働きを保つために、積極的に休憩するんですね。
その休憩は1日2回、起床から8時間後と22時間後です。
つまり、朝6時におきると、午後一番の会議がその一発目(笑)
それを防ぐために、15分のお昼寝がベストですが、
お昼に5分だけ目をつぶるだけでも、効果があるそうです。
これがお昼の法則です。

3.夕方5分─体温の法則
人は体の内部に深部体温という強いリズムを持っていて、
これが高いと活性化し、低いと眠くなるそうです。
このリズムを利用して、一定時間に体の温度を
5分ほど高めることにより、リズムを創りだし
良い睡眠に繋げていく、これが夕方の法則です。

これらの3つの法則を中心に、科学的な根拠から睡眠の質を
高めるためのポイントと実践方法を教えてくれます。
「朝、どうしても起きられない(僕です)。」
「お昼、どうしても眠くなる(僕です)。」
「夜徹夜が多く不規則で集中力が散漫になる(すみません僕です)。」
そんな人は、毎日必ず行う睡眠を利用して、
手軽かつ効果的にやる気を引き出す
この法則を利用しない手はないと思います。
僕も、こういった一つひとつの工夫を続けることによって、
生産性を高めているところです。
寝ている間にも明日の効率が高まるなんて、
もしかしたら睡眠改善は、ビジネスパーソンにとって最も効果の上がる
仕事のツボだったりするのかもしれませんね。
では、本日もどうぞお付き合いくださいね!

■ 本書の目次  
第1章 やる気にはメカニズムがある
第2章 やる気の警告サインをキャッチする
第3章 朝5分─光の法則
第4章 昼5分─負債の法則
第5章 夕方5分─体温の法則
第6章 眠りの悩みを解決する

■チェックポイント B B B C H E C K P O I N T

■人の言い方が気になったら
「いつもは流せる会話なのに、カチンときて、つい言ってしまった…」
こんなときは、ストレスが溜まっているんだと感じると思います。
そういう場合、ストレスを解消しようとして、友人と飲みに行ったり、
夜中までテレビを見たりして、気分転換を図る人が多いでしょう。
ところが、気分転換をしてスッキリするはずが、
実際には、カチンとくることはなくならず、
それどころか、人間関係のストレスはだんだん強くなってしまいます。
私は、「ストレスで眠れません」とご相談いただくことが度々あります。
しかし、脳の働きから見ると、
「しっかり眠っていないから、どうでもいいことをストレスに感じてしまう」
という表現が適切です。
もし、私たちが動物だったら、脳の覚醒レベルが低下すると、
敵に襲われ食べられてしまう危険性が高まります。
そのとき脳は、敵を警戒する部位を活発に働かせて、
ピリピリと周囲に注意を払います。
これと同じ現象が、ヒトでも起こるのです。
私たちの快、不快という基本的な感情を司る扁桃体という部位は、
睡眠が不足し、脳の覚醒レベルが低下すると、過剰に働きます。
すると、必要以上に、相手の言動に感情的な反応をしてしまいます。
これをストレスだと片付けてしまい、気分転換を図ると、
その行動によって睡眠の質は低下し、翌朝にも扁桃体の過剰な働きは変わらず、
ピリピリしてしまいます。
さらに、扁桃体のすぐ後ろには、海馬という記憶を司る部位があります。
海馬は、扁桃体の反応を記憶するので、
似たような場面で不快な反応をするという、
パターンが出来上がってしまいます。
他愛もないことにカチンときたら、
睡眠のリズムをうまく強調して、乗り切りましょう。

■メラトニンの体内時計に関係する働き
ヒトは、1日が24時間より長い体内時計をもっています。
ヒトにとっての1日の始まりから終わりまでを1つのブロックのように考え、
これを位相と呼びます。
メラトニンは、この位相の調整をしています。
位相を調整する組織のトップは、脳の視床下部と呼ばれる部位の中にある
視交叉上核という神経核です。
この部位を破壊すると、位相が消えてしまい、
その後、移植すると位相が復活したことから、体内時計の最高司令部、
マスタークロックと呼ばれています。
マスタークロックからの指令を受けて、
筋肉や臓器などの実行部隊に具体的な指示を出すのが、
視交叉上核の後ろにある松果体です。
体内時計は、光を感知したときがスタートです。
時間が経過し、日没によって周囲が暗くなると、
マスタークロックは松果体に命令を出し、メラトニンを分泌させます。
さらに時間が経過し、そのまま24時間を回っても体内時計は時間を刻みます。
ここで日が昇り、マスタークロックが光を感知すると、
松果体がメラトニンの分泌を止めます。
すると位相は前進し、そこからまた新しい1日の時間を刻みます。
こうして私たちは、1日を24時間で過ごすことができます。
電波時計をイメージしていただけると分かりやすいかもしれません。
からだの中の時計は、少しずつ誤差が生じます。
それを、光を感知することで、毎日合わせています。
この柔軟なシステムによって、
地域や季節による日照時間の変化に自らを合わせることができるのです。

■睡眠から覚めると頭がボーっとする理由。
さて、仮眠を終えて目を開けると、しばらく頭がボーっとします。
これは、睡眠慣性(sleep inertia)と呼ばれます。
睡眠慣性は、睡眠負債がどのぐらい溜まっていたのかを
知るための指標にすることができます。
ボーっとする時間が長いほど、
脳には睡眠負債が溜まっていて、慢性的に睡眠不足だということです。
「平日は全然眠くないけど、休日に昼寝をすると、
ボーっとしてからだがだるくなる」
という方もいらっしゃいます。
この方々は、脳を覚醒させる力が強く、
緊張感をもってお仕事をされているので、
眠気に気づかずにやり過ごしていると考えられます。
眠気には、慣れの現象があります。
そのため、睡眠不足が慢性化するほど、
眠気に気づきにくくなってしまうのです。
周囲からは疲れているように見えても、
本人は「眠くないです。大丈夫です」と言って休まずに作業を続け、
その結果、ヒューマンエラーを起こしてしまう。
みなさんの職場では、こんな場面がありませんか?
睡眠慣性の時間が短くなれば、睡眠不足は解消できています。
5分間、目を閉じて、その後スッキリするまでに
どのぐらいの時間がかかっているのかを意識しておくと、
常に自分の状態を把握することができます。

■脳内の目覚まし時計を使いこなす
ちょっと仮眠するつもりで目を閉じたのに、
気が付けば1時間も寝てしまっていて大慌て!
そんなことは、よくありますよね。
実は脳には、自らを時間通りに目覚めさせる
便利なシステムが備わっています。
使い方は簡単です。
「○分後に起きる」と頭の中で3回唱える、それだけです。
この方法は、自己覚醒法と呼ばれます。
朝早い仕事をされている方などは、
経験的に実践されている方も多いのではないでしょうか?
頭の中で起きる時間を唱えると、
なぜその時間に起きられるのかという
詳しいメカニズムは明らかになっていませんが、
私は、次のように考えています。
脳のリハビリテーションでは、動かなくなった手を再び動かすために、
頭の中で動作を唱えるという方法を使います。
これは、内言語と呼ばれています。
頭の中で「右手を伸ばしてコップをとる」と唱えたときは、
右手を動かしていなくても、脳の手を動かす部位が
活発に働くことが明らかになっています。
思い通りにからだを動かすには、
まず頭の中で動きを唱えることが有効に作用するのです。
この内言語の働きにより、目覚めるためのからだの準備が
プログラムされ、時間通り起きられるのではないか、と考えられます。
この自己覚醒法は、練習するほど効果が上がります。
初めのうちは、極端に早く目覚めてしまったり、
そのまま眠ってしまったりということがありますが、
徐々に上達してくれば、目覚まし時計より前に
目を覚ますことができるようになります。
これは、朝起きられない方にも使えます。
目覚ましをかけるだけでなく、
眠る前に「○時に起きる」と唱えるようにしてみましょう。
脳は、目覚める時間が決まると、その3時間前から
血圧を高めて起床の準備をする
コルチゾールという物質が分泌されます。
コルチゾールは、自分が意図していなかった時間に起こされると、
あわてて分泌されるので、脳に負担がかかります。
するとどうなるか。
不機嫌になります。
目覚まし時計も使いながら、自己覚醒法の練習効果が出てくれば、
朝はスッキリ起きられるようになるはずです。

2012-10-15 10:50:03

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