BBB BUSINESS BOOK BANK ビジネスブックバンク Vol.205 2012.11.18 SUN
大量のタスクをこなす際に参考になる一冊をご紹介します。
東京大学医学部附属病院の現役医師、森田敏宏さんの、『東大ドクターが教える、やる気と集中力の高め方』です。
森田Drは、2008年まで東大病院の心臓カテーテルのチーフを務め、カテーテル手術の件数を年間50例から600例まで、なんと10倍以上に増やされたという実績をお持ちです。
本書は、そんな東大Drが、集中力を科学・医学的視点からやる気と集中力を高めるコツを教えてくれる一冊です。
やる気がでない、集中力が上がらない、今日もだらだらと過ごしてしまったと自己嫌悪に陥る・・・。
そんな経験をしたことがある方は僕だけではないはずです。
では、どうすればいいのかというと、「集中力の上げ方」を知っていればいいだけです。
具体的には、「時間を測り現状を知る」「作業を分解する」、「一つひとつに分解し、集中して取り組む」、「結果が上がることでよりモチベーションが上がる」というプロセスを踏んでいくのですが、これが本当に効果的です。
僕たちに与えられている時間は1日24時間ですが、それをどう使い、何倍の効果を上げるかはやり方次第です。
ですので、その大切なファクターである、モチベーションや集中力を高める方法を知っておかない手はありません。
では、本日もどうぞお付き合いくださいね!
■■■ 本書の目次
CHAPTER1 時間とストレスの関係
CHAPTER2 脳とやる気と集中力
CHAPTER3 ワンステップ?メソッドをはじめよう
CHAPTER4 目標を達成するために必要なこと
CHAPTER5 目標を達成する具体的なプロセス
CHAPTER6 やる気と集中力を高める休息の取り方
CHAPTER7 健康な心身がパフォーマンスを支える
CHAPTER8 勉強のベース力を底上げする本の読み方
CHAPTER9 ワンステップ仕事術を実践しよう
■■■チェックポイント B B B C H E C K P O I N T
■生産性はやる気と集中力で高まる
どうすれば混乱に陥ることなく、生産性を高めていくことができるのでしょうか?
そのキーワードは、やはり「やる気」と「集中力」です。
ゼネラル・エレクトリック社ホーソン工場での有名な実験の話があります。
ある年、専門家グループが労働者の生産性を向上させるため、この工場で様々な労働条件や労働環境を設定して実験を行いました。
実験対象として、モーターを組み立てる生産ラインで働く女性たちが選ばれました。
調査員は彼女たちに「最も生産性を上げ、なおかつミスを最小にするための最高の労働条件を探す実験である」と説明しました。
まず、製造部門の照明を明るくして実験しました。
2~3日もすると生産性が上がり、欠陥製品が減りました。調査員たちは「わが意を得たり」と喜びました。
そこで今度は、照明を暗くし、生産性の違いを調べようとしました。ところが驚いたことに、生産性はさらに上がってしまったのです。
予想外の結果に、「これはどうしたことか」と、他の労働条件でも実験を続けました。
騒音の違い、室温の高低、作業員の配置と作業順の変更…。
ところが、どの条件でも実験前より生産性が向上するという結果が出たのです。
これはいったいどういうことでしょうか?
すべての実験が終わり、調査員たちは実験に参加した女性たちを集めて結果を説明した後、彼女たちに質問しました。
「労働条件をいろいろ変えたにも関わらず、生産性が上がり続けたのはなぜですか?」
すると彼女たちから、予期せぬ答えが返ってきました。
「私たちは何かに選ばれたこともないし、単なる労働者以上の扱いを受けることもありません。ですから、この実験の被験者に選ばれたことが誇らしかったのです」。
彼女たちは、実験対象に選ばれたことを誇りに思い、高い「やる気と集中力」を維持して仕事に臨んだのです。
その結果、実験条件がどのように変わっても、効率を落とすことなく、高い生産性を維持し続けることができたわけです。
私たちがしばしば陥ってしまうのはこの逆パターンです。
どんなに恵まれた環境で、どんなにきちんとしたスケジュールを立てても、根本のやる気と集中力がなければ生産性は上がりません。
時間は刻一刻と過ぎてしまうのです。
■ステップ数の多さも時間を測ると大したことはない
何かの作業に取りかかるまでのステップ数が多いと、面倒くさく感じる、ストレスが増えるという話をしました。
しかし、ステップが多いことと、それに要する時間は必ずしも比例しません。
ここでも心理的時間と物理的時間の乖離がしばしば見られます。
たとえば、空港でのチェックイン。
ポケットに入っている金属類を出してトレイに載せなければいけません。
私の場合、ポケットにいろいろなものが入っているので、いつもすごくストレスに感じていました。
財布、手帳、鍵、携帯、名刺入れ、腕時計、そしてカバンからはノートパソコンを出して…。
ストレスの原因は、まさしくステップ数の多さにあります。
ところが実際に所要時間を測ってみると、1分程度しかかかっていないことがわかりました。
それまでは、自分の心理的時間は5分位と見積もっていたのです。
物理的時間に対しておよそ5倍の体感時間。それほど長く感じられたわけです。
しかし、実はたった1分しかかかっていないということが一度わかると、まったくストレスではなくなります。
むしろ、ワンステップ・メソッドでいかに速く処理するかを目指すと、逆に楽しくさえなるから不思議なものです。
このようにステップ数が多くても時間はたいしてかからない作業というのは沢山あります。
あなたもそれをたくさん見つけてストレスを減らしましょう。
■目の前の一歩に集中する
オリンピックの水泳で2大会連続金メダルを獲得した北島選手。
彼のメンタル面の指導をした脳外科医の林成之先生によると、水泳選手は「もうすぐゴールだからスピードを緩めていいよ」という指令を脳が出しているということになります。
そこで、「泳ぎ終わって自分のタイムを確認するまで気を抜かないように」
と指導したところ、選手のパフォーマンスが向上したそうです。
これは、仕事でも勉強でも同様です。何ごとも先をあれこれ考えるとパフォーマンスが低下します。
本章の冒頭でご紹介した若手医師のように、ステップ数の多さに目がいくと、「複雑だ」「難しい」「大変だ」ということになったり、あるいは「もうちょっとで終わりだ」と余計なことを考えたりすると、パフォーマンスが落ちてしまうのです。
このことからもわかるように、どれだけステップ数が多いことでも、パフォーマンスを上げるためにはとにかく目の前の作業に集中することです。
■プロジェクトを分解せよ
時間管理やスケジュール管理の本には必ず「やることリスト」や「ToDoリスト」を作りましょうと書いてあります。
ところが、ここにも注意しないといけない点があります。
それは何でしょうか?
たとえば、あなたの手帳のやることリストに
1)取引先に連絡する
2)TOEICの準備をする
3)新しい企画の立案をする
と書いてあったとします。
1)の「取引先に連絡」はすぐに行動に移すことができます。
このように具体的な行動を作業あるいはタスクと呼んでいます。
それに対して、2)の「TOEICの準備」とは、具体的に何をすればいいのかわかりません。
このようなものは複数のタスクが集積したもの、つまり「プロジェクト」に分類されます。
このように、具体的なタスクと漠然としたプロジェクトが混在している時点で、あなたの頭の中は混乱してしまいます。
そこでどうするかというと、プロジェクトの中身を具体的な行動に分類する必要があるのです。
TOEICの準備というプロジェクトを具体的なタスクに分類してみましょう。
まず書店に行って参考書、問題集を購入する。これらを進めていく計画を立てる。
つまり、「問題集を1日2ページ解く」「ヒアリングの教材を1日10分聴く」といった「具体的なタスク」に分解するのです。
こうして分解されたタスクを日々の行動に落としこんでいけばいいのです。
あとは、これらのタスクを一つひとつこなしていく。
そうすれば、あなたは一歩一歩、成功へと近づいていくのです。
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Kouichi Msxturbo Tachibana