第32回横溝正史ミステリー大賞。そんな冠は抜きにして、この本はとても楽しめた。頭、胴体、手足を持ち去る殺人事件が連続して起こる。そしてその裏では持ち去った死体の部位から新たな人間を生み出したと思わせておいて、真相はロボトミー手術が生んだ40年以上も過去にさかのぼる陰惨な事件が隠されている。刑事たちも共感を得られる人物像が作り上げられていて、そしてラストは驚きの事実でドラマは収斂していく。悲しい過去をひきづった真犯人の悲哀もしっかりと描きこまれた傑作だった。こういう本に出会えるのが読書の醍醐味だね。
2013-11-15 10:21:27Wow! ノートはまだありません
Tadashi Kai