定常状態とはゼロ成長社会と同義です。ゼロ成長というのは、純投資がない、ということになります。純投資とは、設備投資の際に、純粋に新規資金の調達で行われる投資のことですから、設備投資全体から減価償却費を差し引いたものになります。この純投資がないわけですから、減価償却の範囲内だけの投資しか起きません。家系でいうならば、自動車1台の状態から増やさずに、乗りつぶした時点で買い替えるということです。したがって、買い替えだけが基本的には経済の循環をつくっていくことになります。
2014-10-20 14:47:22 188p13~15世紀の地中海世界の事業清算型資本主義は失敗すれば、その責任は資本家のものでした。ところが、21世紀のバブル清算型資本主義日になると、利益は少数の資本家に還元される一方で、公的資金の注入などの救済による費用は税負担というかたちで広く国民に及びます。資本家のモラルという点では、21世紀のバブル清算型資本主義は事業清算型資本主義と比べて明らかに後退しているのです。
2014-10-20 14:39:12 181p資本主義は資本が自己増殖するプロセスですから、利潤を求めて新たなる「周辺」を生み出そうとします。しかし、現代の先進国にはもう海外に「周辺」はありません。そこで資本は、国内に無理やり「周辺」をつくり出し、利潤を確保しようとしているのです。
2014-10-20 14:26:54 168pゼロインフレであるということは、今必要でないものは、値上がりがないのだから購入する必要がないということです。消費するかどうかの決定は消費者にあります。ミヒャエル・エンデが言うように豊かさを「必要な物が必要なときに、必要な場所で手に入る」と定義すれば、ゼロ金利・ゼロインフレの社会である日本は、いち早く定常状態を実現することで、この豊かさを手に入れることができるのです。そのためには「より速く、より遠くへ、より合理的に」という近代資本主義を駆動させできた理念もまた逆回転させ、「よりゆっくり、より近くへ、より曖昧に」と転じなければなりません。
2014-10-20 10:26:47 308pWow! ノートはまだありません
Akira Watanuki