ー辞書は、思いを誰かに届けるために、言葉の海を渡る舟だー
営業部では目立たない存在であった主人公は、長く辞書編纂に携わり定年を迎えた元編集者と元大学教授より、言葉に対するセンスを見出され、新しい辞書「大渡海」の編纂を託される。採算性が低いために社内で厳しい立場に置かれながらも、辞書作りに真剣に打ち込む主人公の姿を見て、周囲の者も、一見地味に見える辞書編纂に対して、真剣に、そして愛着と情熱をもって向き合うようになっていく。
辞書編纂に対する愛着と情熱がそれに携わる人々の日常をも輝かせ、「大渡海」の完成までのドラマの中で、仕事に人生に情熱を持って全力で向き合うことの喜びと感動が描かれている。
誰かに思いを伝えるための言葉の重要さに気づかせてくれるとともに、目の前のことに全力を尽くすことで世界がぱっと明るくなることを教えてくれる作品。仕事がつらくなったときや投げやりな気持ちになったときに、また読み返したい。
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Yuri Shibata