石黒耀さんのデビュー作。もともと火山に興味があったという事もあり、先に読んだ「富士覚醒」ともかぶる内容や仮説がすでにこの著作の中で展開されている。
内容は霧島火山が大昔存在していたとされる加久藤火山のなれの果てであり、その加久藤火山が大規模な噴火をしたらどうなるか、という災害シミュレーションと、その中で奮闘する主人公を含めた登場人物たちを描いていて、とても新人とは思えない息をつかせぬ展開とうんちくに富んだ脱線とが絶妙に絡み合い、先が気になって仕方ない。特に「神の手作戦」と名付けられた日本の命運をかけた作戦はある意味奇想天外なモノで、現実はこううまく事が運ぶか微妙だが、説得力のある筆致で防災と都市計画のあり方を見直すことに意識を向けられる。
こんな面白い本を読まないまま過ごしていたのが勿体ないくらい、面白い本であった。
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Atsushi Egi