住専問題で荒れる日本金融界を銀行側の視点で描いた作品。家庭の崩壊や不倫などの問題も織り交ぜながら展開される物語は、おおよそ事実に即しつつ、架空の物語として進んでいく。主人公である竹中は、こんなに潔癖な人物がいるか?と思うほど好人物として描かれているが、実際は杉本や佐藤、鈴木のような俗物が支配している銀行の中で翻弄され、結局は違法すれすれの、あるいは違法な取引に手を染める。それによって銀行の立場が安泰になるとすれば、消費者から見てこんなに許せないことはない。
物語として楽しめるだけでなく、あの時代の雰囲気を伝えているという意味でも興味深く読んだ。
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Atsushi Egi