住専問題に荒れる金融界を描く下巻。
中坊公平がモデルと思われる人物に手ひどい仕打ちを受けながらも和解によって住専問題を解決に導いた裏で、貸し渋り、貸しはがしを冷徹に行っていく銀行。その論理はたとえ法的に、あるいは行政指導として求められる行動だとはいえ、あまりに銀行本位過ぎる。そもそも優良顧客で滞りなく返済している町工場などから強制的に取り立てを行い、経営的にナンの問題もない企業を窮地に陥れる。この物語の中では「ワタミ」社長がモデルと思われる人物に救われる中小企業の社長が出てくるが、実際には何の落ち度もない企業が銀行の論理に振り回され、倒産させられていったであろう事が容易に想像できる。
こうした銀行の仕打ちから、「借りたくないときに貸し付けられ、借りたいときに返済させられる」という意識が植え付けられ、現在まで融資が拡大しない元を作ったのではないかとも思えてくる。
まさしく、タイトルどおり、腐った銀行の一面を改めて認識させられる一冊。物語としても面白く、一気に読めた。
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Atsushi Egi