ある意味、真保裕一らしいミステリ。
長い間音信不通だった姉が病院に運び込まれ、その経緯を辿るうちに姉と自分を見つめ直していく物語。タイトルの「最愛」は衝撃のラストに向かって収斂していく物語をまさに一言で表していて、してやられたと感じる。
真保裕一の作品は、最後まで読んでもやるせないというか、切ない読後感を残すものが少なくないが、これもまたそんな作品だ。先が気になり、どんどん読み進まざるをえなくなるような中毒性もありながら、人の秘密を盗み見てしまったような罪悪感も一方で引きずりながら読み進めていき、たどり着く結末にいいようのないものが残ってしまう。
「繋がれた明日」などと同様、優れた作品だが、再読するにはちょっとエネルギーがいりそうな、そんな作品だ。
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Atsushi Egi