数学的にありえない〈下〉 (文春文庫)

上巻で出会うはずがなさそうだった登場人物たちがいろいろな運命に絡め取られるように出会い、物語は加速度的に急展開して行く。奇妙な能力を手に入れた数学者の主人公は、その能力を駆使して最終的に収まるべき終結に向けて様々な仕掛けを施して行く。自らをも命の危険にさらしながら、それでも人間の意思の力、希望を忘れない心の強さに望みを託す。
時間の概念や空間とは？物質とは？という難しい問題を内包しながら、最終的にはすべてがパズルのピースをはめ込むようにあるべきところにおさまっていく。壮大なミステリーでもあり、アクション大作でもあり、極上のエンターテイメントでもある。