最近耳にするようになった「ソブリンリスク」とは何か、について解説している本。
著者は以前からユーロあるいはユーロ圏を構成する国の危うさをその著書やテレビなどを通じて説いてきたひとりで、本書もユーロ圏に端を発する経済危機に言及する。ヨーロッパに関してはさすがに鋭い洞察を示しており、今後の行方が著者の推察の通りに進むのか興味のあるところである。
また、アメリカや日本についても考察をしている。分析は確かに鋭く、問題点の認識ならびにそれに対する対処方法の問題点についても指摘しており、その意見は至極まっとうとさえいえる。ただ、残念なことは、ではベストではないにしろベターは何なのか、ということには言及されておらず、言いたいことをいっている割に自ら対案を示していないこと。学者にありがちな、分析するけどそれ以上はおたくらで考えなさいという、ある意味卑怯な態度ともとれる。
とはいえ、現状の再確認をするなら最適なテキストであり、今後どのように推移するか見極めるためにも、一読の価値はある。
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Atsushi Egi