原発問題に絡んで一躍時の人になった学者による、議論を呼びそうなテーマの書。
漠然と絶滅しそうな種がいれば保護しなきゃとかいってるくせに、一方ではセイタカアワダチソウが毒々しいからといって駆除する。あるいは、里山を保全しようと言いながら、里山を構成する生物である蚊やゴキブリ、ムカデ、蜘蛛などの一般に気持ち悪いとされる昆虫や節足動物に対しては遠慮なく殺虫剤や捕虫剤で殺戮を厭わない。自然が大切といいながら、自分たちは都会的生活にどっぷりと浸かる。これらの矛盾を突きながら、絶滅があるから新種が反映すること、平均すれば絶滅する種はどんどん減っていることなどをしめし、絶滅することは悪いことではないとする。
これまでの価値観に凝り固まっていた意識を根底から粉砕し、環境保護も生物多様性も結局、「現代の都市化した我々の生活を維持するために都合が良いように他者を制御したい」という欲求から発しているものだと喝破する。いつもながら天晴れと思わずにいられないやりこめられ感に浸ることができる。
本書の内容を鵜呑みにするかどうかは別として、視点を変えるために必読の一冊。
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Atsushi Egi