ユーモアミステリのホープが放つ、烏賊川市シリーズ第2弾。
烏賊川市警のでこぼこコンビが追い詰めた模造拳銃犯が逃げ損ねて転落死した際に行方知らずになった拳銃により、前作で事件解決に一役買ったホームレスの金蔵が射殺された遺体として発見されるところから物語がはじまる。その遺体発見現場に近い十乗寺家の邸宅で衆人環視の中不可能犯罪として殺人が行われる。
おおよそ読んでいる途中で犯人の目星がついてくるのだが、そのトリックがなかなか難しい。作者はフェア精神の持ち主で、あらゆるところにその伏線、あるいはヒントをちりばめているのだが、作者独特のユーモアの中に紛れさせるようにそっと置かれている感じで、それがあとで重要なヒントになってくるとは思わない場面が多く、うならされた。
登場人物も前作を踏襲しており、ちょい役と思われていた人物が密接に関わってくるなど、面白い展開も見せる。この次の作品ではどんな人間模様が描かれるのか、それもたのしみの一つになってきた。
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Atsushi Egi